「口うるさい親」が子どもの成績を下げる"必然"

「口うるさい親」と聞いてドキっとした人へ

この質問内容を読んで、「ドキッ」とした方もいるのではないでしょうか。「勉強しなさい」と口うるさい親、これはまさに自分ではないかと……。

もちろん、それが必ず子どもの勉強嫌いに直結するとは限りませんが、筆者が過去数千人の親子を見てきた経験から、そうなる可能性は決して低くありません。

田浦さんのご質問は、中2の子のための塾選びと、勉強嫌いになった小5の子にどう声かけをするのかという2つの内容ですが、実はこの2つの質問への回答は1つに集約できます。

それは、「これ以上、子どもの勉強に関しては『声かけをしない』」ということです。

中2の娘さんは、「どちらでもいいよ」と投げやりになっています。親が介入しすぎるせいで、自発性を失っている可能性もあります。親の必死な声かけも、もはや「うざい」と思われているだけかもしれません。

こうした状況で、親が塾選びに必死になっても効果は薄いどころか、逆効果になると思われます。もし「◯◯のような塾がいいでしょう」と聞いて、入れたとしても、成果が出ずに親がまたやめさせる……そんな展開も想像できます。

筆者は長年、学習塾を経営してきましたが、親の都合で無理やり入塾させられたお子さんの成果が出ないことは大変多くありました。すると親は、成績が上がらないのは塾の問題、もしくは子どもに合っていないと考え、塾を転々と変えたりしますが、本当の論点はそこではありません。問題の本質は、塾の選択ではなく、親のあり方のほうにあるといって過言でありません。

そこで、「これ以上、子どもの勉強に関しては『声かけをしない』」というご提案になるのです。

「そんなことをしたら一切勉強もせず、成績は地に落ちてしまう」と思われる方も多いかもしれません。しかし、30年以上塾や学校の経営に携わってきた筆者の経験上、多くの場合はそうなりません。むしろ成績が上がったと、驚きの声をたくさんいただいてきました。直接そうした結果を報告いただいただけでも数十人以上に上ります。

例えば筆者が開催する勉強会に過去5回ほどお越しになったAさんのケース。中2の息子さんの学校での成績は真ん中より下で、母親であるAさんは悩んでおられました。そのAさんにも口うるさく言ってしまう傾向があると聞き、まずはそれを思い切って、やめていただくことをすすめました。

最初は2~3日で我慢できなくなり、つい口を出してしまっていたそうですが、ある日、Aさんはついに「諦めた」そうです。中学生の子の勉強に口を出してきてうまくいっていないのだから、一度本気で口出しをやめてみようと。

するとどうなったでしょうか。1カ月ほど過ぎたころ、息子さんに自分から勉強に取り組む様子が見られ始めました。そしてその後の中間テスト、期末テストと、次第に順位をあげていき、1年ほどたったころには学校で成績上位になったというのです。

まさかと思われるかもしれませんが、これは非常によく報告いただく話です。

この事例を聞いて、自分も試してみようかと思った方には、具体的に以下のような進め方をご紹介したいと思います。

上下関係のない会話を通じて親子の信頼関係をつくる 

<口うるさい親がとるべき3つの対策>

1) 勉強についての口出しをやめ、かわりにたくさん“雑談”する

これまでの親子の会話の歴史をたどれば、勉強については、親からの「上から目線」の話が多かったことでしょう。

親は勉強のことになると「宿題やりなさい!」「もう勉強の時間ですよ、いつになったらやるの!」とやたらと強制的な言葉で語りかけます。もし、上司、部下の関係のように、子どもが親を上の人間だと思っていれば、反発はできず動かざるをえません。それは嫌々勉強するという事態を引き起こし、あまりいい結果につながりません。

一方、勉強以外の場での親子のコミュニケーションは、そこまで「上下関係」があるでしょうか。雑談のときは、上下なく楽しく話していることも多いかと思います。

 

親にできることは、そうした上下関係のない会話を通じて、日頃から親子の信頼関係を作ることです。その関係性があれば、子どもの側から、勉強や進路、塾などの相談を親にしてみようかと考えることがあります。必要なのは、そうして子ども自身に考えてもらい、判断させることです。そのときは真剣に対応し、相談に乗ってあげ、最終判断は子どもにさせるという形を取られるといいでしょう。

2) 子どもの長所をさらに伸ばすようにする

親がいつも「口うるさい」状態にあるということは、子どもの短所ばかり見ている可能性があります。

人は、自分の長所はあまり認識せず、短所ばかり自覚しているということがよくあります。例えば、人から「◯◯さんはいつも丁寧で感じがいいわね」と言われても、自分ではそれが普通なので、印象に残りにくいでしょう。一方、「◯◯さんは声が小さいね」と言われたとしましょう。きっと少し腹が立つでしょう。短所は、人に言われずとも痛いほど自覚しているでしょうから。

その「自覚できていない長所」をあえて言葉にしてあげることで、長所がさらに伸びていきます。自己肯定感が高まり、言動が前向きになるなかで、短所はほうっておいても、後から「自己修正」が始まることが多くあります。

田浦さんのお子さんの場合であれば、課題や宿題がしっかりと出せているということが長所、成績が伸び悩んでいるということが短所にあたりますが、その短所の指摘をするのではなく、しっかりとやるべきことができているという点に着目して触れてあげます。

宿題や課題をしっかり出せるのが、当たり前のことだと思ってはいけません。それができない子が世の中には山ほどいます。長所を指摘してあげると、子どもの側から、成績を上げたいから、◯◯の塾に行きたいとか、勉強方法を知りたいというアクションが起こってくることがあります。

モチベーションを与えるのは、人生を楽しむ親の姿

3) 親自身が自分の人生を楽しむことに意識をおく

家庭内で、親にいつも見張られ、「ああしなさい、こうしなさい」と言われている子どもは、日々に息苦しさを感じていることでしょう。勉強についてはなおさらです。親は決して「教師ではないこと」を知る必要があります。教師になるのではなく、勉強について、子どもから相談されたら積極的に話を聞いてあげ、自分の判断で進めるように支援してあげましょう。

しかし、「いつまでも、うちの子は勉強にスイッチが入らない」と、やきもきする人もいます。やきもきしている段階で、親はすでに子どもの勉強に“意識が行きすぎている”と考えていいでしょう。

中学生ともなれば、自主的に考え、行動する力はあります。それが無いように見えるとすれば、親が「やりすぎ、出すぎ、追い詰めすぎ」の状態にあります。

では、親はどうすればいいのかといえば、子どもの勉強よりも自分が楽しめること、ワクワクすることに時間と意識を使いましょう。実は、口うるさくするよりも、そのような親の姿を見るほうが、圧倒的に子どもにモチベーションを与えます。

いつも自分を監視している親を見ることと、ワクワクしながら人生を楽しんでいる親を見ることと、どちらが子どもにとって有益であるか、今一度考えてみてください。

以上、3つの対策について書きましたが、まだ「本当に口出しをやめていいのか」「本当に効果が出るのか」信じられない方もいるでしょう。

 

しかし、口出しをやめてうまくいった多くの親たちも、初めは、「そのようなことは信じられない。うちの子は言わないとやらない」と言っていました。何年も口うるさくしてきてうまくいっていないのでしたらぜひ一度、数カ月、試してみてください。